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最終更新:2007/01/23

受賞について

受賞コメントが審査員(青木氏)から説明がありました。

県名高校名演目
最優秀賞 埼玉 秩父農工科学高校 「サバス・2」
【受賞の理由】なんでこんなに装置と役者がJointするのかなという印象の演劇でワクワクした。それが裏切りなのかもしれないけど、どうなっているのだろうと感じた。ラストについてはもう1捻りほひいところで、そこは未成熟に感じた。
優秀賞
創作脚本賞
埼玉 筑波大坂戸高校 「絶対矛盾的緑望論序説
 〜ようこそグリーンマンパラダイス〜」
【受賞の理由】好きな作品で完成度が高いが、その一方で裏切りがなく隙がない。お客をよく引き込んだものの、隙間がなく観客を「えっ?」と引きつける盛り上がりがあるとよかった。
優秀賞 長野 岡谷南高校 「変身」
【受賞の理由】作品の完成度が高く美しかった。主人公の家族の想いと、それに対する主人公自身の気持ちといったもっと人間的な部分がやや描画不足だった。
優秀賞 栃木 作新学院高校 「TSUBASA」
【受賞の理由】高い完成度でしたが、脚本をもっと練り上げてもよかったんじゃないか。

順当な受賞といっうことろでした。個人的には変身がもっといいのかなと思いましたが、心理劇という面を考えてなかったので講評にて反省したりしてました。TSUBASAについては個人的には、脚本がちょっとなーというところでしたが。グリーンマンとサバス・2を比べるとやっぱり後者に軍配という感じですね。それぐらい、秩父農工科学高校の演劇としての完成度は圧倒的でした。非常に役者が立っているんですよね。

創作脚本については、顧問創作を含めてもグリーンマンが順当かなというところです。深みに迫れなかった点などはあるものの、完成度としてはこの中では一番。素早く多面的に見せた劇自体が本の評価をあげたというのもあるでしょう。

全体的に感じたこと

笑いの取り方がうまい

シリアスな学校も何校かありましたが、とにかく笑いを取るのがどの高校もうまいんですよね。いくつか共通点みたいに感じたのは、ひとつは男子の演じる女キャラ。これは、比較的簡単に笑いが取りやすいようで、3〜4校あった気がします。これを一番うまく使ったのが、筑波大坂戸高校のグリーンマンですね。

次に感じたのは、話題やネタよりも動きの方が面白い。県内だと、話の流れで一生懸命笑いを取ろうとしている高校が多かったのですが、動きという要素は重要なんだなと認識させられました。それにしても、笑いにかけての間やテンポの使い方がとてもうまいですね。

設定ゼロシナリオについて

草加東高校上演の「DELETE」は講評において「物語背景が見えない」という指摘がありました。私自身、この演劇を観て、まさに昨今若者達の中で流行するひとつのシナリオの形態であることが気になったので、それについて知らない方も多いでしょうし説明しておきたいと思います。

昨今のシナリオ重視のゲームや小説(ライトノベル)や映像作品(ほしのこえ等)などにおいて、背景設定にまったく触れないどころか、そもそも初めから設定そのものが存在せず、逆にそのような背景的な説明を一切排除するところにおいて抽象的な世界観を成り立たせるという作品手法が一部にて流行しています。

通常ならば、設定というものを作り込むことで世界観を固定するところを、逆に物語として必要な要素として設定、例えば「DELETE」で言うところの政府軍とレジスタンスといった対立構造、以上の背景は不要であるし、そもそも設定すらしません。逆に設定をあえてしないことで、描く対象が抽象的にしより物語性を高めます。不足する部分は、説明せずとも観ている側が勝手に(観ている人にとって)都合のいいように想像して埋めてくれるという立場になります。

ではなぜ、そういう背景や設定というものを省略・削除してしまうかと言うと、そういう生っぽいモノをストーリーの中から排除することで、物語そのものは過度に美的または過度に感傷的なものとなるためです。さらに言及すれば、不必要要素を極限まで削り、共感しやすい構図だけちりばめておくことで、観ている側は勝手に共感して勝手に感動してくれる、という考察も成り立ちます(実際そのように分析している人も居ます)。ストーリーご都合主義とも言えるこの形式は、好む好まざるは別として今時の若い世代の一部に絶大な人気を得ています。

草加東高校の「DELETE」を観てびっくりしたのは、この現象が(数年タイムラグがあるとはいえ)高校演劇においても起きていることを、まじまじと見せつけられた点です。若い世代が作った若い演劇だから存在して当たり前ではありますが実際に見るというのはまたショッキングなことでした。

難しいのは、ある年代より上の方々には、この手の作品作りはおそらく理解されないだろうということです。多分この説明を読んだとしても理解することもままならないかもしれません。私個人としては、安定した(地に足の付いた)ストーリーを好みますので大歓迎ということはできませんが、この設定ゼロ手法の極みを演劇として成り立たせたら一体どうなるのだろうか? という点は大変興味深いところです。

まとめ

今回初めて関東大会を観劇したわけですが、さすがにレベル高いですね。特に埼玉、そして長野、栃木。埼玉の方では自主公演や発表会も有料だったりするようですが、それも頷けてしまいます。さすがにどの高校も初歩的な部分はクリアしていている一方で、でも(県内と)同じような脚本構成の甘さとか、そういうのがあったと思います。

やっぱり部員数の多いところはすごいなぁーと県内の状況と比較するとうらやましい限りでしたが、その点長野の松本筑摩高校は部員たった2人であれだけ作ってきたおり、部員数はなんの言い訳にもならないとよく思い知った次第です。

書き漏らしですが、カセットデッキから音を書けるとき本当にカセットデッキで再生している高校が2校ぐらいありました。県大会ではあまり見られませんが、あの方がリアリティがあっていいですね。

色々書いてしまいましたが、どの高校もある一定水準は確保しており大変楽しめました。やっぱりいいですね関東大会。近くならばまた行きたいところですが来年は新潟……難しいかなあ。関東大会、南部ブロックも機会があれば見に行きたいなと感じました。

大会の感想とこぼれ話

お客さんたくさん

さすがは関東大会、お客さんたくさん居ました。そして群馬の県大会会場よりも狭いのかな。お客さんが多かったおかげもあると思いますが、声が変に反響したりせず聞き取りやすかったです。彩の国さいたま劇場って有名なのか、あれこれ効果を付けられる照明装置とか舞台が絨毯(?)だっりとか、劇場関係者の熱の入れようとか、すごかったですね。

 

アンケート用紙(写真左)をみて「これ書きやすくていいね」という声を客席でききました。長々と感想を書くタイプなので逆に使いにくいかなと思ったのですが、実際書いてみるとほんとに書きやすく良いなーと思いました。またお客が多いからこそ出来ることなのでしょうが、ロビーに各校ごとのメッセージボード(紙)が用意してあり、感想などを書けるようになっていました。これもよいですね。

このメッセージボード多分全校だと思うのですが、くじむすびさんという方が丁寧なメッセージを書かれていました。書かれているところはみてないのでどのような方かは分かりませんが、「あぁ同じような高校演劇ファンの方なのかなあ〜」とか思ったりしました。

大会運営

県大会では参加校のみなさんが大会を運営されていたと思うのですが、県大会以上になると開催県の演劇部の方々が運営するんですね。参加校はそれぞれ自分の上演に集中できるという、お客様できるというか、そういうシステムらしいです。

その運営ですが、実によく運営されていました。お客としても心地よく、アンケートの回収には熱を入れ(すごい人海戦術でしたが)、細かいところまでフォローにまわり、参加校の人たちへのフォローも多分行き届いたものだったのではないかと思います。いやはや、あの大会を支えた縁の下の最大の力持ち、最大の功労者は埼玉県内の高校演劇部の方々のように感じました。本当に本当におつかれさまです。