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最終更新:2011/11/16

■ 大会の感想

近況でも触れましたが、太田フレックス以外は評価の別れる大会だっと思います。そういう意味で太田フレックスが最優秀賞(審査員の間で評価が分かれなかった)なのでしょうか。

感想を書き終えて改めて考えてみると、完成度なら「市立前橋(笛男)」「太田フレ(妄想RUNNING)」の順で3つ目は前橋南か新島か……悩むなという感じ。テーマ的演出なら「太田フレ(妄想RUNNING)」「伊勢崎清明(暗鬼)」で、これまた3つ目は悩むのですが、「高商大附(白犬伝)」か「富岡東(女や〜めた!)」かな……。複数の審査員の異なる価値判断が混ざってるので難しいところですが、おそらく今回の審査基準はこれに近いものだと感じています。主題が観客に伝わったかが重要視されたのかも知れませんね。

今年もまた県大会のレベルが底上げされまして、基礎的な演技力ではどの高校もほぼ問題ないレベル。数年前まで声がまともに聞こえない学校もあったし、関東大会でも60分見てるのが辛くなる上演が何校かあったことを考えれば(今はどうか知りませんが)、いかにすごいことであるか。ほんの2年前まで4年連続関東大会出場をしていた新島学園が、決して実力を落としているわけでもないのに2年連続で関東大会にいけなくなってしまった事実が、如実に激戦区であることを表しているようにも感じます。

こうなると「たまたまその年の審査基準で入選を逃す」ことも起きてしまいますが、(こういう種類の作品が評価されやすいぞとか)露骨に関東出場を狙うことなく、自分たちのポリシーを貫いて精一杯上演してもらえればと感じました。

2011年11月15日 わたなべ 記

■ 動作と体で演技しよう

今年気になったのは、体や動作の演技でした。

演劇・演技と言うとまず台詞に着目します。実際、台詞を覚えなければお話にならず、覚えた台詞をきちんと演じることが大切になります。ですが、これはもうどの(県大会出場)高校も一定水準まで達した言ってよいでしょう。会話などが非常によく研究され、それが演技に活かさています。

一方で、動作の演技・演出がおざなりになっている高校がいくつか見受けられました。動かなすぎたり、動いても不自然だったり、美しくなかったり。例えば「ねえねえ、そこにあるノート取って」と話しかけるシーンを考えてみます。ただ言葉で言うだけでも通じますが、「そこ」と言う時に視線が「そこ」に行くだけでなく、思わず指を差してしまったりしませんか。取ってもらいたい相手が近くに居て、それが友だちなら「ねえねえ」という時に方や腕を軽く叩いたりしませんか。

もしくは言い争いをしているシーンでは、ただ言葉で言い合うだけなのでしょうか。例えば「どうして今まで黙ってたんだよ」と責めるシーン。感情を高ぶらせて喚きながら、せいぜい机を叩いたり、足を大きく踏み込んで足音立てたりぐらいでしょうか。でも相手がそこに居るならガツガツと前に詰め寄ったり、顔を相手に向けてつきだしたり、場合によっては掴みかかって相手の体を振ったりしませんか。「どうして」と言いながらダダダダダと相手に接近し、そこで台詞と動作を止め、「今まで」と言いながら少し離れ視線を外し「黙ってたんだよ」と言ってから相手を睨む。これが良い悪いはともかく、体を使えばこれだけ色々な形の演技をすることができるのです。

こういう体の動きって感情の反応として普通は自然と出てしまうものだったりします。台詞の演技はとても良く研究されているので、同じ要領で体の反応についても研究してみると良いかもしれません。

また台詞に関連しない部分での体の動きも重要です。人物の動作にはその人物像が出てきます。例えば、座り方ひとつ取ってもその人物の性別はもちろん性格まで出てくるのです。きちんと座るのか、ダルそうに座るのか、猫背で座るのかでも意味がぜんぜん違います。足を閉じるのか、開くのか。開くとしてもどのぐらい開くのか。これだって全然意味が違ってくるのです。

そして人物の関係性。台詞では表現しにくい、もしくは表現し切れない、登場人物たちの相互の関係性は動きによって表現することができます。極端な話、人物AとBが戯れていれば仲が良いことがわかるし、その様子をCが羨ましそうに見ていて、それに気づいたBが軽く嫌そうな顔をすれば、たったそれだけで3人の関係性が如実に説明されます。むしろ、この体の演技を抜きにして台詞だけで関係性を表そうとするから嘘っぽくなるし真に迫らないのです。(※台本を書く人も、このつもりで「台詞で説明しすぎない」「こういう演技に時間を取れるだけの余裕を残す」配慮が必要です。)

動作に関連してもう1つあります。それは「静止」の動作です。これができていない学校が非常に多い。

静止と言ってもコメディの間におけるストップモーションを言っているのではありません。演技、演出上必要になった「止まるべき演技」のときにはきちんと止まってください。道路の「一時停止」でスピードを緩めて止まった風というのはNGです。どこから見ても分かるように止まる。頭のてっぺんからつま先まで神経を張り巡らせて止まる。特に、動作に美的なものが求められるシーンや人物では、動くことよりも止まることを意識してください。

美的でなくてもコメディ的な部分でもそうなのですが、動作にメリハリが感じられない理由の多くは「動き」の雑さよりも「停止」の雑さに原因があります。日常シーンではあまり必要にならないとは思いますが、「止まる」ということを意識すると動作のメリハリが付き、演技の印象がとても良くなります。