伊勢崎清明高校「アナ雪なんて観ない」

作:モーティマー大佐(顧問創作)
演出:星野 珠菜
※最優秀賞(関東大会へ)

あらすじ・概要

黒幕をおろした舞台に、左右対称に椅子が4脚。中央にサスがあり男、中ニ。椅子には白い服の女子4名。この4名が役を早変わりしつつ演じられる舞台。中ニがまわりに翻弄されつついろんなところに流れ着くお話。

感想

時代設定は江戸ぐらいだと思いますが、ひたすらにネタだらけの舞台です。わざと説明的なBGMを多用し「JR」とか「中学生」とか「所場代が4月から8%、来年から10%」とか「しまむらはファッションセンターだ」とか、そういうネタをワンサカ盛り込んでいます。しかし演技はあくまでシリアスでコメディではありません。

とにかくひどい。ほんとに酷いシナリオ(苦笑)。酷いってのはこのシナリオの場合褒め言葉になると思いますが、悪ふざけを糞真面目に全力でやりましたって感じで、演技も非常にうまく声もよく聞こえ、それだけでも惹きつける力があります。

とやかく言ってもしょうがない舞台ではありますが2つほど。時代設定が江戸風なのにネタ(用語)が現代なので時代がよくわからなくなります。コメディなら構わないのです、コメディなら。でもこの上演、観客からはコメディでも登場人物はあくまでシリアスなのです。シリアスなのに時代設定を蔑ろにするのは大変違和感があります。時代設定を守った上でネタを盛り込むこともそんなに難しくないのに、なぜそれをしなかったのか。

もうひとつ。場面が次々と転換するのですが「最初から最後までクライマックス」。全体を通してテンションがほぼ一定ですので観てて飽きてきます。山もない、オチもない、意味もないとなると勢いで押すしかないという判断なのでしょうが、全体としての物語がなくても細かく区切った個々の小話に起伏をつけることは十分可能だったわけで、なぜそうしなかったのかという疑問が残りました。緩みのシーン(演技)が圧倒的に少ないですよね?

顧問が変わり今後原澤先生劇団に染まってしまうのかどうか興味深くはありますが、さすがに演技の完成度は高かったなと感じました。おつかれさま。演出今後もがんばって。