桐生第一高校「ジャンヌ」

脚本:飯田 宏敞(ひろあき)
翻案:山吹 緑
演出:根上屋 貴之

※優秀賞(次点校)

あらすじ

魔女たち3人が、ちょっとした試みで少女4人を選びジャンヌとした。 歴史になぞらえるために。その少女たちは、魔女たちに翻弄される。

【以下ネタバレ】

そして少女たちは戦争に参加し、そして最後には裁かれ処されることとなる。 そのとき、4人のうちの一人が自ら進み出て火刑台に登った……。

主観的感想

なんだか分からない……。 終始シリアスであるけど、それ自体は全く構わない。 おそらく(言わずと知れた)ジャンヌという少女について真正面から扱ったもののようです。

シリアスなのですが、迫力や緊迫感といったものがほぼ感じられず、 4人の17歳の少女が『ただ魔女たちの言いなりになっている』ために、 観てて白けてしまいます。 少女たちの背景をもっと描いても良かったのではないでしょうか。 4人中3人は、性格付けすらされておらず、 これもまたスポットが当たるべき少女たちを薄っぺらにしています。

随所でダンスを使いシーンを構成していますが、 そのダンスが上手いわけではなく、手や動きはまだしも足元(立ち位置)すら揃っていない。 そして、特別効果的な(意味のある)演出とも思えない。

ラスト近くでスポットを使うのですがスポット外が明るいので、 おそらく(舞台の約束として)見えてない人たちの姿がよく見える。 そして、台詞の聞き取れないシーンがあり、最後には9分残し。 かなり作り込んで来ているが、それが空回りした印象。 何をどう魅せるのか(特に物語的要素の側面)、そのために何が必要なのか、 もっと徹底的に考えて作ってほしい。

審査員の講評

【掘】
  • 選択した本が少々欠点がある。 それは良い台詞は一杯書かれているのだけど、 登場人物(特に選ばれた4人のジャンヌの)内面が描かれてないので伝わってこない。
  • しかし、衣装や舞台の色合いがとても綺麗で、音楽・照明などもよく、スタッフワークは最高。
  • その力で最後まで引っ張りきった。
【中】
  • (脚色した)「2004年秋」という台詞があるのだが、 当時と時代性も異なり2004年である必要が感じられなかった。 この時代と今の女性は違うだろう、と気になってしまった。
  • 衣装がとても綺麗。
  • ダンスが……地区大会よりはマシだけど……。 もっと自信をもって(自信が持てるぐらい練習して)演じてほしい。
  • 声がほとんど叫びっぱなしで、気になった。
【原】
  • とにかく美しい舞台だった。
  • 爆音とBGMが重なっているシーンがあったが、多少疑問を感じた。
  • (魔女たちの)黒いタイツスーツは非常に効果的。
  • ジャンヌが火刑台に登るシーンが印象に残っている。