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作・演出:塩屋 愛実(創作)
少年院に送られた親殺しなどの少女たちの心の交流を描いた物語。
まず幕前での親とのやりとり(の一人芝居)から始まり、幕が開いて少年院となります。机5つを半円形に並べたシンプルな舞台。全体に、心理劇なんですが、5人の登場人物のそれぞれの独白(モノローグ)挟んでいくので、最終的に誰の何を描きたかったのかはっきりしないという終わり方になってしまいました。
独白による描写なので、背景というものも描ききれておらず、なんとなく中途半端。難しいところではありますが、きちんとした背景付けをした上で、それを含めどうにしたかったのかが見えたらよかったかな……とは思います。パンフなどをみると「感動させる芝居を作りたい」とのことですが、そこにはやっぱりステレオタイプではない少年犯罪に対する思慮が必要だったのではないでしょうか。そして描写をあまり分散させないように。
この高校もですが、ゆるみが出来ていません。全キャラが「張り」「張り」となってしまったために若干台詞が聞き取りにくく、張りつめたムードがずっと続くので観る側としては疲れ(飽き)やすく、そこも考慮がほしいなと思いました。
全体的に丁寧な舞台作りだったと思います。後半の抽象的なイメージを体で表現するなどの演出(方針)はとても良かったと思います。おそらく「このまま(社会状況)では、こういう事件をどこでも誰でも起こす可能性がある」といったような背筋が寒くなるような終わり方でそれも面白かったです。ただどうせならばもっと徹底的に背筋を寒くしてくれたならなという感じもします。そのためには「狂気」に対する視点として「普通」な人物を配置する必要があったのかもしれません。