大泉高校「総合的な学習」

作:江原 慎太郎(顧問創作)
演出:(表記なし)

あらすじ・概要

総合的な学習の発表練習。さやはお葬式のマナーについての発表練習を友人達と一緒に行っていたのだけど……。

主観的感想

ぱっと幕が開いて、左手にお葬式のマナーという垂れ幕。その右に発表用の台(ミニ教卓)。中央に花に囲まれた台、右側にはパイプ椅子で生徒たちが並びます。役者がそのまま本名で登場するという当て書きされた台本です。どうやら、シーンごとに順番に積み上げていった感じです。最後にさやが自殺しようとして、それを止めて終わるのですが、全体的にぱっとしません。新島のあとだけに、その差は余計に大きく映りますね。

台詞が早口でキンキンして何を言っているのかよくわかりません。みんなテンションを上げちゃったので抜けができてないと思います。「止め」や「間」はよく研究して積極的に使っていましたが、メリハリは使えていませんでした。強弱やメリハリをうまく使うようにするとうんと良くなります。遺書の朗読や死にたいする考え方、捉え方、気持ちの動きの無理など色々と気になるところはあるのですが、ひとつだけ大切なことを書いておきます。

話を聞いていない生徒たちという様子が非常によく出来ていました。ワイワイギャーギャーのリアルな女子高生がよく表現されています。そこが一番の問題でした。リアルすぎて劇になっていなかった。講評で「もし自分の高校の制服を使っていたのなら、それは絶対変えた方がいい」という指摘がありましたが、それもおそらく同じことを言っています。当て書きであまりに素で作ってしまったために、劇になってない。演じていない。制服もいつもの制服、おしゃべりもいつものおしゃべり、ただ場所が舞台の上になっただけ。普段の雑談を観客にみせたところで面白いとは思ってもらえない。普段の高校生活をビデオにとって垂れ流しても誰も楽しんでもらえない。

とても伝えるのが難しいのですが、まず演じることからはじめてください。観客のために演じてください。ありのままの自分たち見てもらいたい気持ちは痛いほどよく分かります。けれども、今のままでは観客はあなたたちのことを見てはくれないのてす。

お昼休み。みんなで食べる昼食。自分のこと、今日あったこと、昨日見たテレビ、昨晩届いたメール。友人と雑談をするとき、あなたは友人の方を向いて話すはずです。あんまり興味のなさそうな目をしていてたら話を切り上げるかもしれないし、興味津々で「それでそれで」と返してきたらテンションをあげて話すと思うのです。今度は、観客の方を向いて演技をしてください(舞台上で実際に客席を向けと言っているのではないですよ)。どうしたら観客の方を向いて演技ができるかよくよく考えてみてください。そうすると観客もあなたたちを見てくれるようになります