高崎商科大学附属高校「雰囲気のある死体」

作:別役 実(既成)
※優秀賞(関東大会へ)

あらすじ・概要

入院患者とその両親と、廊下に置かれた死体と、切りたくてしょうがないお医者さまとが織りなすコメディタッチの劇。

感想

ベッドが3つ置かれた舞台。病室ということらしい。力の抜けたきちんとした演技で、台詞のトーンもきちんと配慮されていて、安心して観ることができました。

台本は中身がまったくないバカでくだらない台本です(褒めてます)。よく演じられていたんですけども、もっとコメディに振ってしまってもよかったのではないかと思います。観客の視点だと、演技のトーンが「コメディ」じゃなくて「シリアス」に感じられてしまったので、ちゃんと「コメディ」であることを伝えればもっとウケが取れたと思うんですよね。序盤で「コメディ」と分かる演出をしてまうのも一つの方法だったのではないかと思います。

そして逆に死体の扱い。コメディでもあったので、死体の中から「違う人が出てきたり」「生きてる人が出てきたり」するのではないかという疑念が最後まで拭えませんでした。死体が異質なものという印象を受けることができませんでした。これは出演者の演技からも、扱い方からも感じられました。顔も隠れてますし。

つまり、コメディとシリアスの混在する台本なのに、どの部分がどっちなのかハッキリ見えてこない。どっち付かずの上演だったことが大問題だと思います。演技のトーンもほぼ一定。演技の基礎力は十分あるのですから、シーンごとのメリハリや全体を引いた立場で見せ方を配慮すれば達成できたと思うのです。そう思ってパンフを見るとやはり演出不在。ほかの観客も「ここは笑っていいシーンなのか?」と随分悩んでいたように思います。

ちゃんと演出してください。演出的配慮が皆無なので申し訳ないけど入賞するとは思いませんでした。面白いのは面白かったのですけどね。