松本県ケ丘高校「遠藤周作「深い河」より」
- 原作:遠藤周作
- 脚色:日下部英司(顧問創作)
妻の余命宣告を受ける男。妻の死後から3年、妻の生まれ変わりを求めて男はインドへと旅立った。
良かった点
- 照明を効果的に使い、抽象的でダークな舞台をきちんと作り上げていた。
- 開幕の動作を合わせるシーンの動きが見事にそろっていた。
- 小道具としての椅子が効果的に使われていた。
- おじいさんや病気の妻など、動作による演技がとても良かった。
気になった点
- 抽象劇ということを差し置いても、病院の個室の出入り口がバラバラなのは気になる。例え抽象的だとしても、病室であるその瞬間はリアルであるわけで、(銀杏の木以外は)きちんと1つの出入り口から出入りすべきでは。
- 場面転換は一瞬だとしても照明を落としても(多少暗くしても)よかったのではないでしょうか。
いろいろ
この手の劇は苦手なのですが、それでも率直な感想を述べたいと思います。
序盤と河に入るシーンで、「動きを合わせる演出」の動きを合わせる意図がよくわかりません。動きを合わせることを見せたかったのはわかりますが、それでも何がしたいんだろうという疑問が残ってしまいました。
そして不条理劇としての男のむなしさが際立って表現されていたのかなと考えると、やや疑問が残ります。意味ありげな元ボランティアの女性の背景を中途半端に描いていたのですが、それ必要だったのでしょうか。主軸がぶれてしまった印象もあるので、もう少し男のフォーカスしても良かったのではないだろうか……とか色々考えましたが、まあ難しいですね。
基礎演技力が高く、演出も終始安定していて、安心して楽しめました。