まとめ感想 - 2015年度 群馬県大会

今年も無事に観劇することができました。上演されたみなさんお疲れさまでした。楽しいひとときをありがとうございました。


各校感想はなるべく客観的になるよう頑張ったので、ここではより個人的な感想でも書こうかと思います。まずは個人的ランキング。

1位と2位は多分誰が審査しても(入れ替わりを除いて)変わらないと思います。感想にも書きましたが、1日目終了時点で「前高が最優秀でこれ超える上演なんか出ないでしょう」と思っていたのに、新島が同レベルの上演をしてきて度肝を抜きました(苦笑)

3位については悩みますね。演出面も含めて上演全体の印象で判断するなら、この2校かなと思います。演技力を重視して見るなら審査結果どおり共愛でしょうけど、みなさんは共愛の「七人の部長」面白かった? 演劇たって大衆演劇なんだから、純粋に分かりやすく面白いことももっと評価されていいんじゃないかと個人的には思います。

そういえば、創作台本も面白かったですね。ファミコン!の創作脚本賞には納得していないですけども(苦笑)。ストーリーは評価するけども構成が(修正の難しい)欠点だらけですし、そもそも顧問創作より同じく欠点はあるけども掛け合いの完成度が高く修正の余地もある生徒創作に賞あげたっていいじゃないで……ダメですか、世の中厳しいです。

それと例年に比べて今年は演出を頑張ってる学校が増えましたね。とても良いことだと思います。その調子でどんどん有力校を打ち破っていってほしいです。


今までは感想を書いて全部ちゃんと読みなおしてから公開していたのですが、今年は出来たものからどんどん公開していく形式にしたら、どんどん指摘が来るので励みになりました。書いてる人は高校演劇関係者どころか、演劇関係者ですらないので(関わる機会があったらよかったんですけど(苦笑))「この門外漢の部外者め!」ぐらいの軽い気持ちでご意見いただければ幸いです。

2015年11月17日 記

県立前橋高校「マルス・プメラ ~小さな島の不思議な実の物語~」

  • 作:星野 孝雄(既成)*1
  • 潤色:前橋高校演劇部
  • 演出:養田 陸矢
  • 優秀賞(関東大会へ)

*1 : 劇団の人らしいのですが情報捜索中。県内の劇団や現在は高校演劇に関わっていらっしゃる方で、今回の台本は書きおろしだそうです。情報提供ありがとうございます。

あらすじ・概要

隣り合う2つの国、その国境付近にある小さな島です。その島には、南北に国境線が引かれていて、東西をそれぞれの国が治めていました。しかし最近、国境付近の海域から永久に尽きないエネルギー資源が発見されたことにより両国は戦争状態になります。

この物語は、そのエネルギー資源をめぐり、両国からひとりずつこの島に青年兵士が派遣されるところから始まります。

感想

上のあらすじですが、上演の最初に説明されるあらすじの抜粋です。「えっそんな、いきなり説明台詞導入ですか」と少々びっくり。説明役による舞台進行はあんまり良い印象がなかったのですが……。

舞台中央に、一番手前まで黒いテープが貼られ国境線になっています。中央に桟橋があり、奥が海らしくホリで青く表現されています。砂浜という設定らしい。上手と下手に旗があり、箱などちょっとした小道具があるだけです。簡素なんです。SEで波音が少し聞こえてるだけ。でも幕が上がるとそこが砂浜に見えてくるんです

男子校で、しかも7人しか部員の居ない部活の上演です。スタッフも全部含めて7人です。装置にだってお金も時間(人員)もそんなに割けなかったはずで、そんな限られた条件の中で工夫して、きちんと砂浜を(演技による力を含めて)海辺を説得力を持って作ってきた。素晴らしいとしか言いようがない。

銃を持って向かい合う二人の兵士。もうこの二人の演技力がすごい。すごすぎる。

  • リアクションがとても上手い。相手に対する反応がきちんとできていて非の打ち所がない。
  • 動きを合わせるところでは本当に綺麗に動きがあっている。
  • それでいて間の使い方もよくわかっていて、台本の面白さをちゃんと笑いにできている。

その辺の小劇団でもこのレベルの上演は少ない。2日目の上演まだ見てないけど、もうこれが最優秀賞じゃないの?(笑)

国境線は絶対に踏み越えない。踏み越えないのに、その上で手を交わして交流する。銃を向け合うこともありながら互いに交流する。でも国境線は踏み越えない。二人の人物がどんなに気持ちを近づけようとも、どんなに二人の距離が近づこうとも、国境線は踏み越えない。それが、この二人にとって国境線がどんな意味を持つのかってことをこれでもかというほどに観客に訴えるのです。

またこの上演では歌を歌うシーンがあります。数々の無駄に歌い踊る上演を見てきましたが、この舞台ではが本当に素敵に美しく使われていて、しかもみんな歌が上手い。あーもう演技でこれだけのもの見せて、歌シーンもこんなに魅力的なんてずるいよ(苦笑)

主役の2人だけじゃなくて、他の役者も本当に適切で上手かった。


めずらしく絶賛になってしまいましたが、ひとつだけ気になったことがありました。それは銃の扱いです。2人とも同じ機関銃を使っていましたが、機関銃って10kgぐらいあるんです。あんなに軽そうに持ってはいけません。中に重りを入れるといいと思います。

本当に面白い上演でした。楽しかった、もう一度見たい。

2015年度 群馬県大会

まとめ感想 - 2014年度 群馬県大会

上演校のみなさん、おつかれさまでした。今年はどの高校も実力伯仲。いつも上演終了後に「どの学校が入賞するかな?」って考えてみるのですが、今回はしませんでした……というよりできませんでした。今回はどの学校が入賞しても不思議じゃないと。(他校に比べ)飛び抜けてうまい上演もなく、少し劣るかなっていう上演もなく、どの学校も「一長一短」でありながら十分魅力がある舞台。

そういえば高女、久しぶりに県大会で見ました。昔は県大会常連で県内では有名だったんですよ。生徒創作、なかなか大変だとは思いますが頑張って欲しいです。各校の感想ボードに感想を書いていた高女のサヤカさん(役)の指摘は結構いいところ付いてたと思います。演出をしてみるといいかも知れません。

既成台本の選び方も昔と傾向が変わってきましたね。いわゆるネット台本を選ぶ高校が少なくなった。ネット台本の全部がダメではないのですが、ひどく欠点のある台本も多いですからね……。みんな眼がしっかりしてきたのか、地区大会で落とされてしまうだけなのか。

演技と演出のレベルもあがってきてますね。昔見た関東大会とかよりも、みんな実力高いんじゃないかな。そして、ちゃんと演出が全体を見渡した仕事してるなって思える高校が増えてきたのも喜ばしい。がんばって、応援してる!

感想で長々と書いてしまった学校もありますが、文量が多いからダメとか良いとかいうのは一切ありません。良かっただけに「もっとここを注意すれば」と気になってしまった学校が多く、あまり書いてないとしても細かい問題が少なかったか、もしくは個人的に感想を書くのが苦手な内容という感じです。今回はとても良いものをたくさん観させて頂いたので、負けないぐらい気合入れて感想を書きました。

それぐらいみんなの上演は熱かった!

2014年11月13日 記

2014年度 群馬県大会