松本美須々ケ丘高校「カラマーゾフの兄弟」
- 原作:ドストエフスキー
- 脚色:郷原玲(顧問創作)
- 演出:櫻井美希
- 録画映像による上演
- 優秀賞
カラマーゾフの血を引く兄弟たちの織り成す物語。
良かった点
- 抽象的な舞台と照明を的確に使って、独特の暗いムードと雰囲気をよく表現していた。
- 全体的に声の演技がうまく、ドミートリーと、端役?か何か(あまり喋らかった女子)の声質も良かったと思う。
気になった点
- 全体的に「叫ぶ」演技がとても多く、せっかく演じる能力が高いのに叫ぶことで演技の幅を狭めていました。叫ぶ以外の方法もあったのではないでしょうか。
- 「ゾシマの復活」というシーンが2度ほど登場するものの、現在の構成では意味するところが全く分からない。
いろいろ
原作をバッサリ削って翻案したのだと思いますが「ゾシマの復活」という部分を残す必要があったのか疑問です。最後が、兄弟の話として終わる現構成なら、もっとこの部分にフォーカスすれば深みを出せたのではないでしょうか。原作が魅力的でその部分を一生懸命なぞっているんだろうなという以上の感想を(想像される台本からは)感じられないのです。
多分、原作を知ってる人(例えば審査員になるような人)には大ウケなのでしょうが、普通の観客には(そしておそらく会場にいた多くの生徒にとっては)よく分からんことになっていました。別に大衆向けこそが正義と言う気はありませんが、少なくとも原作の魅力が伝わる程度には翻案してほしいと感じます。
とはいえ、台本の問題を別とすれば、かなり良く作りこまれており、演技も安定し、声も聞き取りやすい。素敵な上演でした。