沼田高校「二人いる!?」

脚本:磯田 武久(生徒創作)
演出:磯田 武久

主観的感想

高校の美術室を舞台にして「ミステリーに挑戦」がパンフレットのうたい文句。 コンセプトは良いにしても全体的に不足だらけ。 観ただけでは何を目指したのかすら少々分からなかった。 男子3名によって繰り広げられる主人公との関わり合いが主軸なのですが、 そのどれもが中途半端。お約束の独白あり。 劇中、暗転が非常に多く、 おまけに多くの暗転が「時間跳躍」をしているために最後にならないと意味が分からない。 ミステリーには必要ですか、多少演劇には合わない見せ方のような気もしました。 あまりお客さんを引き込めていない様子で、 物語の導入に「つかみ」がないせいかなと感じました。

審査員の講評(の主観的抜粋)

  • 物語の流れに沿っていない一発ギャグが多かった。 その種のギャグは慎重に使わないと、物語の流れを止めてしまう。 芝居に組み込まれた物なのか、芝居の上に取ってつけたものなのか、もう一度慎重に考えて。
  • ラストシーン近くで父の声がスピーカーから聞こえる場面があるが、 二人の人物両方に聞こえてしまったために、物語が現実を超えてしまった。 一人ならば心の声になるが、二人に聞こえると超常現象になってしまう。
  • 説明的な台詞や独白が多く、これは(60分という)時間枠を超えないためだと 思うが、例えば「虐待をうけてたんだ」などの言葉を軽々しく述べたりはしない。 自分がどういうシチュエーションならそんな話を友人とかにするか考えてみてほしい。 そういう言葉の持つ重みを慎重かつ丁寧に描いていくのが、本来の演劇の姿。