新潟江南高校「アルキメデス・スリッパー」
- 作:長崎北高校学芸部と福田耕(既成)
- 潤色:新潟江南高校演劇部
- 演出:中村友理佳
- 優秀賞
バス停で出会った陽気な高校生北川と、無口な青木の織り成す物語。
良かった点
- 演技がとても良い。動作や間の使い方がとくに秀逸。
- きちんと演出がされている。
- 二人の関係性が徐々に構築される様子が、きちんと表現されている。
- 感想な舞台装置と、舞台全体広く使った演出が内容にマッチしている。
気になった点
- 開幕のBGMが長すぎる。北川が動き始めたらBGMはすぐ止めてよいような気がする。
- 北川が(自撮りする様子を)きちんと演じられているので、BGMが邪魔に感じる。
- 全体的にレベルが高いだけに、一部のリアクション動作が「型の演技」(不自然な反応)に感じられる部分があり、もったいなかった。
いろいろ
とにかくにも演技・演出がよかったなという印象です。言葉で表すとシンプルですが、それを実行するのはとても大変なことで、この手のギャグ台本は演技(や演出)がダメだと、本当にただただ寒いだけの上演になってしまいます。この舞台では、シーンひとつひとつ、立ち振る舞いひとつひとつが観客の立場にどう映るのかきちんと配慮がされています。その積み重ねが、最初の「スリッパの打音」だけで会話を成立させ、観客を舞台に惹きつけることにつながっています。
欲を言うならになってしまいますが、全体的に「青木を北川が食っている」(北川が主役である)感じが少し強く、未来に向かって歩むと決めた北川の心境の変化にもう少し演出的焦点が当たってもよかったのではないかなと思いました。*1
とにもかくにも、非常にレベルが高く、とても楽しい上演でした。