高崎北高校「Good Job!」
演出:(表記なし)
あらすじ・概要
ある家の前で不思議な大人たちがたむろしている。そこにやってきた生保のセールス。すぐに追い返されてしまう。この家は、セールスをみんな追い返してしまうと噂になっていた。その場に居た4人の、新聞・ネット・生保・宗教のセールス(勧誘)たちで一致団結して取り組もうということになったのだけど。
感想
左手の入り口(レンガブロックの塀とインターフォン)。右手側に掲示板とゴミステーションと電柱。道路のイメージかな。道路にしては広いけども。生徒創作とは思えない非常によくできた台本で、内容も面白い。台詞のかけ合い不自然なところがなく書かれていて、構成も面白く非常によくできています。オチも秀逸。いやはやしてやられました。
訪問販売員と追い返す親子というやっていることはコメディなのですが、意外な伏線があって最後まで面白く楽しめます。どういうところに話を落とすのかなーとおもったら、母親が「興味のない話を(半ば)無理矢理きかされて、それのどこが『お客様のためですか?』」と投げかけたところで、セールスたちの気持ちの変化が表れるという話筋。他に盛り上げようがなかったのかあらかじめ狙われたものか「そうきたか」っという感じでよかった(命とかいじめとかある意味ありふれて飽きてるので)。他にやりとりの中で、比較的普通な意見を言う人を配置していたり(変な人ずくめにしていない)、その辺のちゃんと配慮がありすばらしかった。創作脚本賞取ってほしかったなあ。
台本についてはいくつか講評で指摘がありましたが、個人的に一番気になったのは4人で協力してセールスするときにあまり4人で力を合わせた感じがしなかったことでした。途中でほかのひとに譲って交代しているところをみても、結局きっかけを作った人(兄)が偉いだけで他が便乗している印象が拭えなかった。もうひとつ。昨日打ち合わせた作戦を振り返りましょうってくだりは要らないと思います。ああいうシーンは普通、過ぎ去ってしまった過去(省略した過去)を観客に説明するために使うもので、コソコソで観客に聞こえないように話すならそもそもシーンとして要らない。笑いを取るわけでもないので、あのシーンの目的がさっぱり分かりませんでした。
インターホンが重要な道具でありインターホンっぽい音(ほんもの使って録音?)というリアルを追求してよく作ってあった点は良かったのですが、SEとして再生する音量が不自然に大きかった。劇全体のムードを少し壊している。舞台の上で鳴っていると錯覚できるぐらいの音量(もしくは実際にそこで鳴らしてしまう)とかの方法を考えましたが、それよりも舞台上にインターホン(の舞台装置。本物である必要はない)を用意して役者が実際に出てきて喋る方がよかったと思います。それにしても、全体的に音が大きすぎでした。
あとは舞台のゴミステーションのゴミがいつまでも置かれていたり、1日経っても増えてなかったするのが気になりました。ゴミステーションらしくない。ブロック塀も160cmぐらいだった気がするのですが、どれくらいだったでしょうか。記憶違いではなければ(高さの意味で)塀らしくないような気がします。こういう細かいリアルの積み重ねが演劇全体のリアリティを増すので、もう少し考えられるといいかなと思いました。
全体的に
演技は笑いを取るための間の使い方がよく研究されていて、台本を含めて笑いを取るために注力されていました。会話の中にもう少し「笑い待ち」をいれてもよかったかもしれません。ただ何もない普通の会話・かけあいは、心の動きから言葉が出るという意味で多少甘いところがありました。投げかけられた言葉から気持ちが動き心の反応が生まれ、それが言葉になる。笑いの追求意外に、同じように反応のリアリティも考えて欲しいなと感じました。
台本を含めコメディとしてよく考えられて演技もされており、面白かった。段ボール教の教祖様は可愛いし。5年振りの県大会出場ということですが、今後も活躍を期待したいです。