前橋南高校「狩野■Kanou県 」

妹の椅子が舞台中央にあり、姉の椅子が舞台よりやや下手にあるので、椅子の中心が舞台中心からずれているのがなんとも気持ち悪く感じてしまいました。サスの関係なのかもしれませんが、県大会はこうではなかったような気が……。全体的に県大会のほうが面白かったなという印象が拭えません。

照明設備の関係はあるのでしょうが、夜な夜な出てくる女がハッキリ認識できるまでの時間が遅くなってしまい、この夜のシーン用のスモークが女まで届いてなかったり、また椅子位置の関係からリサイクル業者の出入りや玄関などの位置が不自然(窮屈)で、リサイクル業者の男が妹に色目を使うシーンの「キラッ」音などのSEがやや小さく、なんとも不恰好に感じられました。

舞台が広くなったのか姉が若干早足になっていたのが気になった以外は演者に問題はなかったと思うのですが、照明、音響、スモークなどのスタッフワークの部分での粗が目立ち、前橋南独特の世界観の構築に失敗しているように感じられました。おそらくシルクホールに不慣れだったためでしょう。たったそれだけのことでこれだけ印象が変わってしまうのだから、普段県大会で見せるあのクオリティは絶妙なバランスの上に成り立っているのだと、あらためて実感しました。

まとめ感想 - 2011年度 群馬県大会

近況でも触れましたが、太田フレックス以外は評価の別れる大会だっと思います。そういう意味で太田フレックスが最優秀賞(審査員の間で評価が分かれなかった)なのでしょうか。

感想を書き終えて改めて考えてみると、完成度なら「市立前橋(笛男)」「太田フレ(妄想RUNNING)」の順で3つ目は前橋南か新島か……悩むなという感じ。テーマ的演出なら「太田フレ(妄想RUNNING)」「伊勢崎清明(暗鬼)」で、これまた3つ目は悩むのですが、「高商大附(白犬伝)」か「富岡東(女や~めた!)」かな……。複数の審査員の異なる価値判断が混ざってるので難しいところですが、おそらく今回の審査基準はこれに近いものだと感じています。主題が観客に伝わったかが重要視されたのかも知れませんね。

今年もまた県大会のレベルが底上げされまして、基礎的な演技力ではどの高校もほぼ問題ないレベル。数年前まで声がまともに聞こえない学校もあったし、関東大会でも60分見てるのが辛くなる上演が何校かあったことを考えれば(今はどうか知りませんが)、いかにすごいことであるか。ほんの2年前まで4年連続関東大会出場をしていた新島学園が、決して実力を落としているわけでもないのに2年連続で関東大会にいけなくなってしまった事実が、如実に激戦区であることを表しているようにも感じます。

こうなると「たまたまその年の審査基準で入選を逃す」ことも起きてしまいますが、(こういう種類の作品が評価されやすいぞとか)露骨に関東出場を狙うことなく、自分たちのポリシーを貫いて精一杯上演してもらえればと感じました。

2011年11月15日 記

2011年度 群馬県大会

まとめ感想 - 2010年度 群馬県大会

例年にもましてハイレベルな戦いで、今年は前橋南「荒野のMärchen」、伊勢崎清明「くまむしくらぶ」、新島「女将さんのバラード」の3強。個人的な予想では、前橋南・新島が関東で、清明が次点校かと思いましたが新島と清明が逆という結果でした。完成度文句なしの前橋南と、ちょっとずつ欠点のある清明と新島という感じ。どっちが行ってもおかしくなかったでしょう。

入賞外でも太田市立商業「お葬式」、太田フレックス「他部ぅ」、渋川「贋作マクベス」あたりは関東行っても不思議ではなかった。逆にこのレベルでも関東に行けない(近年の)群馬大会の激戦区っぷりには舌を巻くばかりです。このどれも、数年前なら確実に関東行けるレベルだったと感じます。前橋南と新島が安定的に入賞する状況で、他校が関東へ行くのは相当難しくなってきたなのかも知れません。つまり今年の新島レベルの上演をしても入賞できるかどうか分からないということなのですから。

それにしても近年の県全体のレベルアップは何かあったんでしょうか。良いことなんだけどすこし不思議。

2010年11月15日 記

2010年度 群馬県大会