まとめ感想 - 2006年度 群馬県大会

高校名演目結果
前橋南 コックと窓ふきとねこのいない時間 最優秀賞
新島学園 桜井家の掟 優秀賞
桐生南 ハムより薄い 優秀賞(次点校)
館林女子 ANTI- 創作脚本賞

今年は、欠点よりも長所(特に演技力)が評価されたと思います。観客として素直に楽しめたものが上位という感じで、前橋南は断トツの演技力。新島学園はわいわいとした高校演劇らしさのある活力ある劇をきちんと仕上げてきた点などが評価されたのでないでしょうか。桐生南については、顧問の先生ご自身も(ブログによると生徒自身も)不思議に思っているように不思議な点もありますが、欠点をなかったことにしてしまえば、やはり演技力(間の使い方)が評価されたと言っていいのではないかと思います。

比較的目立った欠点がないという意味では、高女、伊勢崎清明(旧伊勢崎女子)あたりが上位かなと思っていまし、逆に前橋南は舞台装置の寂しさと台詞の間という欠点が大きかったので入賞しないかなと思っていました。しかし、結果こうなってみると妥当だと思います。具体例は避けますが、過去(の評価)にはお客として楽しめた舞台と上位入賞の舞台が食い違うということもありましたし、そういう意味では今年はよい選択をしたのではないでしょうか。

ただ一方で、今回の関東大会出場2校を見たとき、このままでは関東を突破出来ないことも間違えないように感じます。欠点を克服してより仕上げることを期待しています。

創作脚本賞について。脚本そのものの完成度というよりは、脚本の着想「腐ってしまう人間」と「腐らない人間」という作りが高く評価された結果だと思います。いまいち題材を生かし切れていないようにも感じますので。

講評について

今年の講評ですが、ヨシダ先生(外部審査員)以外の評が例年に比べ甘かった気が。私の感想がキツすぎるという話もありますが。あくまでこちらのポリシーとしての話。

キツいこと言って落ち込ませるのが可哀想ってのも分からなくはないのですが、こと創作において欠点を指摘して改善するチャンスを与えないというのは余計可哀想なんじゃないかと思います。どんなに一生懸命に作ろうと、「意欲」と「根性」と「やる気」があったとしても、顧問の先生が演劇にあまり詳しくないというただそれだけの理由で大会に勝てない高校はたくさんあると思うのです。実際、全国どこをみても顧問が演劇に精通しているところが強いというのは定石になっています。

大会で講評するというのは、そういう不平等をなくす意味合いでも、また公式の大会でコメントをもらうことで自分たちの不足点を振り返るきっかけとするという意味でも大切だと思うんです。普段の部活で顧問の先生からは「気づいてても(生徒との関係を考えると)なかなか言いづらい」とか「言っても届かない」というのがあるかと思いますすが、練習に練習を重ねた大会作品に対する公式な評なら、届くと思うんですけど。――あくまで、理想論に過ぎませんが(汗)

2006年度 群馬県大会

まとめ感想 - 2006年度 関東大会

県名高校名演目
最優秀賞 静岡 富士高校 紙屋悦子の青春
優秀賞(全国大会へ) 静岡 三島南高校 うぉーっっ
優秀賞(全国フェスティバルへ) 山梨 甲府昭和高校 靴下スケート
優秀賞 茨城 水海道第一高校 リングの中の王子様
優秀賞 神奈川 麻布大学付属渕野辺 幕末ジャイアンツ
創作脚本 山梨 甲府西高校 盤上の沖縄戦

審査過程について発表後にコメントがありました。最優秀賞の富士高校は非常に美しい台詞回しと姿勢が高く評価されてとのこと。次いで三島南高校の「うぉーっっ」と甲府昭和高校の「靴下スケート」で割れたが、最終的には投票で前者に。残りは靴下スケートと、あとはすんなりと「水海道第一高校」「麻布大付属淵野辺」が決まったとのことでした。

最優秀賞は誰が観てもというところでしょう、文句なく。1日目を観ていないので、まああんまり何ともいえませんが(靴下スケートは予想外でしたが)。こうして見ると静岡が強いですね。県外の情報はかなり疎く、人口の多い東京、神奈川あたりが強いのかなと単純に考えていたのでちょっと意外でした。たまたま今回そうだったのか、人口とは関係なく盛んな地域とそうでない地域があるのかなーという印象です。

創作脚本については、着想を評価されて「盤上の沖縄戦」というところみたいですが、個人的には「それください」の方がよく出来ていると思います。むしろ上演台本をお探しの人(?)には「それください」を勧めます、非常に良いです。

2006年度 関東大会/南部

まとめ感想 - 2006年度 関東大会

県名高校名演目
最優秀賞 栃木 栃木高校 塩原町長選挙
優秀賞
(全国フェスティバルへ)
新潟 三条東 例えばジャニスのソウルフルナンバー
優秀賞
創作脚本賞
栃木 作新学院高校 ナユタ
優秀賞 群馬 新島学園高校 桜井家の掟

結構意外な審査結果でした。最優秀賞もあるかと思っていた筑坂の選漏れ、一緒に観ていた人と共に首をかしげた三条東の入賞、入賞はしないだろうと思っていた新島の入賞(個人的にはあの出来では入賞して欲しくなかったです)。最優秀賞だろうと思われていたナユタ(作新)に代わり、最優秀賞は難しいかなーと思われていた、栃高の最優秀賞など。

今回の審査基準の推測は簡単、観て面白かったものです。舞台や照明などを含めた演劇技術や総合力で考えれば、筑坂、作新、栃木、前橋南、新島あたりだと思うのですが、筑坂については感想で述べたとおりで、前橋南については講評で「脚本で80%決まる」と述べられていた意味、そのままでしょう。栃高については、装置なし、照明的演出もほぼなし、BGMも普通。唯一飛び抜けたテーマに関連する演出(演技)の驚異的な完成度、そして何より本の面白さということなのでしょう。